映画「天気の子」 見た人向け考察。


 自分勝手な考察です。




 『君の名は。』に続く、2019年7月19日に公開された、新海誠監督の新作『天気の子』。
 人生初のIMAX(大画面、大迫力)で見てきました。

 新海誠監督の映画は『君の名は。』で知り、amazonビデオで『言の葉の庭』を視聴しました。他作品を見てない自分は新海誠の追っかけでもなく、基本的に考察を読まないそこらのラノベ作家志望の一人です。
 ですが、『天気の子』が伝えてくれた感動が「作品に触れた客の一人として、考察を発信しなくては……!」と勝手に立ち上がった次第であります。
(この記事では細かい考察をするものではなく、新海誠が(たぶん)伝えたかったことをどうにか解釈して記したモノです)



 ……まだ前置きです。
 以下から書かれるのは、映画を見た人にしか分からない、ネタバレありの、身勝手な考察です。
 ただ、自分の受け取った『何か』を考えるに、この映画は『自分で見て、自分の考えで考察してから、他人の考えを聞いてみるべき』だと思われます。それはなぜか、それは「あなた一人に向けた作品」のためです。
 よって、ここから先は、実際に見た方のみ、読み進める事をおすすめします。
 他の作品よりも、特に強くおすすめします。

 ……では、以下、ネタバレありの考察です。



























 さて、「なぜ『天気の子』の考察記事を書こうと思ったのか」について、上記と他にもう一つあります。それは、『『伝えたいこと』の把握が共感では困難』と考えたためです。私自身、最後の一言で「『伝えたいこと』はそれだったのか!」と、やっと分かった一人です。

 ……非常に難解だと思いました。
 もしかしたら、私と違う『伝えたいこと』を受け取った方もいたかも知れません。それが間違いかどうかは分かりません。
「受け取り方は十人十色だよ」と言われても、この作品においては納得してしまう作品でした。
 それでも、私が受け取った『伝えたいこと』を、しっかり記事にしようと思います。
 その『伝えたいこと』とは……
 
 ――「大丈夫。」

「うわ、あたり前のこと言いやがった。ブラウザ閉じよ」と思ったそこの方!
 もうちょっと待って!
 本当にあたり前な事を連ねるかも知れないけど、お願い待って!

 ……「何が」大丈夫なんですか?
 それを感覚的に落とし込むのが「非常に難しい」と判断したため、私はこの記事を書いたのです!

 ……はい。落とし込むのが難しい理由を言います。ここからは、ネタバレのオンパレードです。


 まずは私の、『天気の子』を見た率直に浮かんだ感想を言いますね。



 すぅー……はあぁ……
 (めいいっぱい息を吸う音)

 ……「大丈夫」じゃないでしょ!!!
 まず帆高は逮捕のち保護観察処分!!
 須賀も公務執行妨害で(多分)逮捕!!
 他の皆も(多分)みんな逮捕!!
 そして東京壊滅ですよ!!
 ――何も「大丈夫」じゃないでしょ!!!

 大体、帆高の行動おかしくないですか!?
 雲を追いかけて東京に来たのは、半歩譲って理解しましょう。

 でもね、「東京怖ぇ~」って思っていたとはいえ、
 拾った銃をお守り(護身用)に持ち歩きますか!?

 ヤクザのようなニイチャンに馬乗りで殴られたとして、
 ホンモノかも知れない銃を向けますか!?

 はっちゃけすぎでしょ!

 『カッとなってやった』って言い続ける犯罪者ですか!?

 普通にバカでしょ! 普通はやらないよ!

 ………………
 …………

 まあ、こんな具合ですよね。
 皆、思いますよね?

 思わない? それだと困るんですよ。

 だってこれ――

 ――実は、テーマなんです。



 どういう事か分からん方も、もう分かっている方も、よければ私の声で聞いてみて下さい。

 ……今、この記事を読んでいるあなた。
 知識とか、倫理観とか、因果関係とか、全て抜き去って考えてください。

 ・「流れていく雲を追いかけたいと思ったこと、ありませんか?」

 ・「高圧的な不届き者を、不幸を負った誰かのために一度ぐらい刺してやろうと思ったこと、ありませんか?」

 ・「お金が入った財布を見つけたら、自分のバッグに入れようと思ったこと、ありませんか?」(……これは違うかな)

 帆高の状況とは軽く変えましたが、皆さんにも、そんな思考はありますよね。
 むしろ、倫理観よりも先に思い浮かぶんじゃないですか?



「そんなの、普通そうだよ」という意見が多数だと思います。
(――性悪説とか難しい事は考えないでください。もっと単純に。ヒトとは元々「内から無意識に湧き上がってきた情熱」というものがある、そういう存在なのです。)

 ……でも、自分たちは帆高のように「内から無意識に湧き上がってきた情熱」に沿って行動しませんよね?
 
 ――それはなぜか、作品内で言及してました。
 それは、私たちが優先順位を変えることが出来ない大人になってしまったからです。

 『内から無意識に湧き上がってきた情熱(最優先されるべきもの)』が『別の何か(例えば世間の目など)』によって阻害され、優先され、情熱の通りに実行できなくなるわけです。

 ここで、テーマが浮き彫りになります。

 ――「内から無意識に湧き上がってきた情熱」で実行してはいけないの?

「えっ? それはダメだよ」
 子供に質問されたら、自分はそう答えちゃいます。大人として。
 作品見た後からすると、その返事こそ恥ずかしい……自分として……。

 天気の子では、もちろん答えは異なります。
 作品内では、止めに入る須賀さん、陽菜を助けに行きたい帆高、追ってきた警察の混沌としたシーン。その時、須賀さんが行動で示しました。
 帆高を地面にたたきつける警察に、「帆高は間違ってねぇだろ!」と須賀さんが警察に悪質タックル! ……それが答えなんです。(あのタイミングでの心変わりは「正しい姿への変身」なんです。そういうものなんです)

 そう、あの作品は、
「内から無意識に湧き上がってきた情熱」で選択するといい。
 そう言っているのです。

 ……しかし、「内から無意識に湧き上がってきた情熱」による行動、情熱以外の『何か』を考慮しない行動は、簡単に世間・世界に波風を立てます。
 家出をすれば家庭はパニックになります。銃刀法違反なんてもってのほかです。良い影響なんてありません。

「内から無意識に湧き上がってきた情熱」の通りに従ったら、周りはどうなるか。
 監督は答えに、希望的なファンタジーを入れませんでした。
 情熱を行使した結果、雨は降り続き、東京は壊滅し、一人の意向では済まされない被害を受けました。
 
 監督の答えは誠実で、
「自分のせいで周囲へ実害をまき散らす。それは、自分が想像する以上の混乱が生じるかも知れない」
 そう、告げたのです。



 じゃあ、ダメじゃん……



 口に付きそうになった時、『天気の子』からメッセージが送られてきます。
 そう、そのメッセージこそが――
 ――「大丈夫。」



 正しいだけの選択よりも、自分が心の底から湧き上がった『でも、だけど』の無い思いに従ったほうが、君の未来は明るい。
 それを手放しに、強く、伝えてきたのです。


 心の底から選んだなら、情熱に沿って選んだのなら「大丈夫」。
 大体、自分がどんなに正しくあろうとしても、世界はすでに狂ってるから、君の「正しい」が未来を保証なんてしてくれない。一人二人の影響なんてたかが知れてるし(時には予想を遙かに超えるけど)それほど重く考えるな。
 そうやって自分が選んだ道ならば、「選択によって狂わしたこれから(=不確かな結果の先)」に出会っても、希望を持って進んで行ける。心から求める選択の結果ならば、その先の未来は大丈夫だ。


 この作品で伝えようとしたモノは、勧善懲悪から完全に外れていました。
 キャラクターも問題行為ばかりです。
 ……これは、正しさから外れ続けていないとメッセージにノイズが入るため、それしか選択が無かったんです。

 心情的な欲求と倫理的な正しさは現実では紙一重です。
 だからこそ『倫理的に正しいことをしたら希望ある未来へ進む』と観客に思われないために、帆高の行動はいつでも『心の底から浮かび上がった思い』であり、かつ『正常な倫理ならば行わなかった行動』をし続けるのです。


 それがこの作品の「伝えたいこと」だと分析し、私は受け取りました。






 ――アーティストの方々は特に、感銘を受ける作品だったのでは無いでしょうか?

 私自身ラノベ作家を目指している一人ですが、大衆の歩む道を外れて『好き』を追いかける人たちには特に、響くものがあると思います。

「君は自分の情熱に従って行動してる。今の君の行動は周りから評価されてないかも知れないけど、大丈夫。」

 先行く方に「頑張れ」と言われたようで、昔の自分に従えなかった頃の悔しさと、自分に従っている今の不安が消し去られ露わになった傷に、静かに涙を流しました。
 こんなにも「大丈夫」と言って欲しかったのだと、一人で気づく夜でした。



……もし、『天気の子』を見た方々の中に、私と同じように『大丈夫』に救われた方。
 自分の周りに同じ境遇の方がいましたら、この作品を見に行くよう勧めてあげてください。
 多分、その人にとっても、この作品は未来へ進む糧になると思います。



 以上。
 つたない一人の考察でした。





 ……
 ――最後、皆様に。
 
 こんなにも説教しておきながら、恥ずかしながら分からない部分がわんさかあります。
 以下の考察できていない部分について、コメントで意見いただけると幸いです。

 1つ
 ・最初と最後に、スマホでアルバイト検索のシーンありましたよね?
  最初はアルバイト見つからず(学生証不可)、終盤ではバイトが大量ってシーン。
 「早く大人になりたい」という陽菜の言葉からも、「大人になったから」バイトが沢山見つかったのだと思うのですが、
  ただ、『歳をとったから』ではないと思うのです。
  帆高達は何をもって「大人」になったんでしょう?

 2つ
 ・「陽菜の死んだ母親の一周忌だから」と、煙の上を跨ぐシーンありますよね?
  あれ、何を表したいのか分からないんです。(まじで)
  良ければ教えていただけると助かります。


 以上。
 感想、意見含め、コメントお待ちしてます。

 
 
 












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